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help リーダーに追加 RSS パパの書評・・・「サイゴンの十字架」(開高健)、「佐藤さん」(片川優子)

<<   作成日時 : 2008/04/02 01:20   >>

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とうとう4月。新しい年度が始まってしまいました。
昨年度の仕事は何1つ終わってないんですけど、時間だけは容赦してくれません。
新年度1発目のブログは、パパの書評。
今回は、「サイゴンの十字架」(開高健)と「佐藤さん」(片川優子)の
まったくジャンルの違う2作品をご紹介。
画像


「サイゴンの十字架」 開高健 光文社文庫 お気に入り度:

中学の頃には、友達と一緒に近所の畑の腐葉土をひっくり返してミミズを捕まえ、
それをエサに近所の川でよく魚釣りをしたもんです。

あの頃のバイブルはと言えば、漫画なら矢口高雄の「釣りキチ三平」
文学なら、開高健のアマゾン釣り紀行「オーパ!」
「地球の反対側には、抱えきれないほど大きなナマズやら、
金色の魚などがいるんだなあ」などと、
子供心に冒険心を掻き立てられました。

本屋の文庫本の新刊コーナーでふと目に付いたのが、
開高健のベトナム戦争のルポルタージュ選集「サイゴンの十字架」

この人の真骨頂は、ベトナム戦争の政府軍への従軍記と、
この凄惨な体験に基づく文学作品だとは知っていたのですが、
今まで読んだことがなかった。

しかし、なぜ今、開高健?
なぜ、ベトナム戦争?


この本を読んでみると、ベトナム戦争下での一般人の生活や、
北から南に転向した軍人のインタビュー、米軍の撤兵の様子、
戦時の聖職者の行動などを活写しながら、ときに熱く、ときに冷静に、
作者の思いが書き添えられています。

でも、その底流にあるのは、開高健の人間への飽くなき探究心と、やさしさ。
豪放な文章を書く人ほど、とても繊細でやさしいのです。
良いところも、悪いところも含めて、この人、とことんベトナム人が好きなんだろうな。

破壊される街、荒廃する生活、増える犠牲者、無責任な撤兵。
どれをとってみても、規模の差はあれ、40年前のサイゴンと現在のバグダッドの
状況とが重なります。

しかし、アメリカという国も、つくづく、あんまり変らないんだなあ。
というより、反共という理念があったベトナム戦争に比べ、どう考えても道理の
通らないイラク戦争の方が、むしろ後退したというべきか。

こういう本が40年たっても輝きを失わないことに、人間のおろかさを思い知らされる
と同時に、普遍的な人間のたくましさや、バイタリティーに一縷の希望も。

子供たちが大人になるころには、ベトナム戦争もイラク戦争も完全な過去の遺産に
なっていればいいけど、状況は悲観的ですよね。

「歴史はピリオドのない劇である。希望と虚妄のピリオドのない劇である。」(開高健)



「佐藤さん」 片川優子 講談社文庫 お気に入り度:

気弱な高校生の僕(佐伯君)と、霊が憑いてるクラスメイトの女の子(佐藤さん)との
甘酸っぱい青春ラブストーリー。
なかなか「好き」と言い出せない僕と佐藤さんとの恋は、はたして実るのか?

ベトナム戦争の渾身のルポのあとに、中学生(いまは大学生)の女の子が書いた
青春小説
を読むってのも、ほんとにポリシーの無い読書ですね。

まあ、右に振れた振り子は左に振れないとバランスが取れないんですよ。私の場合。

大人の作家が高校生とか書くと、「今の高校生、そうは考えないんじゃないかなあ」
なんて思って、たまにしらけちゃう事があるんですけど、
なにせこの作者の場合には等身大ですから、リアリティーが違います。

もちろん、ストーリー展開とか、文章とかは、まだまだ荒削りな感じは否めないけど、
少なくとも私が高校生の頃には、こんな小説はとても書けません。
もとい、今でも書けません。ブログ読まれると、文才ばればれですね。

これから恋やら、いろんな人生経験積んでったら、末恐ろしい作家になりそう。
あせらず、天性の才能を磨いてほしいもんです。

これからも作品をチェックさせてもらいます。
娘の成長を見守るパパ気分です。

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